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NoriyosiBlog

イカの行動生態を研究しているポスドクのブログです。 調査や研究のこぼれ話からポスドクの生き様などを紹介できればいいなぁ。

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ぐったりだぁ。

産卵中に行う実験を試みているのだが、それを観察するためには産卵に立ち会わなければならないわけで。
寝ずに水槽の前で粘っていたが本日は何もなく終了。連休中にも関わらず、徹夜の朝帰りですよ。

まぁやってることといったらDVD見たり、携帯ゲームしながら水槽前でダラダラしていただけなんだけどね。
こういう姿勢がマタニティーブルーのお母さんの機嫌を損ねたのかしら。

ほぼ二日おきに産卵するから、常にブルーなんだろうけど。
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親子判定について

親子判定に四苦八苦している今日この頃。

これまでプライマーの開発はしたことがあるが、実際の親子判定をやったことがなかった自分は、プライマーさえ開発できたらあとは親のバンドとの一致を調べればいいものと高をくくっていたが、いざDNA判定に入ると話はそう簡単でないことに気付く。

A practical guide to methods of parentage analysis


上のレビューは様々な親子判定の手法やそれのためのソフトウェアをまとめたもので、今回これを見ながら魚の親子判定を行う学生と共に勉強中。そんなわけで復習がてらちょっとまとめてみる。

親子判定にもいろいろあり、水槽実験などで目的の親のDNAが回収できているときは最初に書いたように親のバンドと同じバンドを共有しない子供を除外していくことで目的の親がどれくらいの子供を獲得できているか調べることができる。これをExclusionと呼ぶ。

さらに最近ではソフトウェアの力を借りてより精度が高い親子判定を行うことが出来るようになった。除外できなかった個体は目的の個体だけでなく、その繁殖相手や別の個体の可能性も有しているが(バンドが被っている可能性があるから)、ここからさらに尤度や事後確立を使って候補を絞ることができる。これをParentage assignmentとか呼んだりする。よく使われるのはCERVUSというソフト。

で、問題は野外で採集した卵の親子判定を行う場合、つまり親のDNAが獲得できなかった場合である。この場合は子供の情報から親を推測する方法となる。やり易いのは卵塊などの親子判定である。何故ならメスは共通であることがほぼ確実であり、対立遺伝子の片割れが予測しやすいからだ。このように対象がfull-sib(両親が同じ兄弟)か、half-sib(異母、または異父兄弟)と思われる場合に親を予測する方法はparental reconstructionと呼ばれる。これを行うためにはGERUDというソフトがいいみたいだ。

問題は対象とする子供の親がまったく予測できないとき。うちの学生が直面したのは残念ながらこのケース。繁殖期に雄が縄張りを作り、そこに雌がやってきて産卵を行う魚なのだが、雌は複数やってきて産卵するので巣の中にある卵はどの雌のものなのかまったく分からない上に、スニーキングも頻繁に行われるので雄の情報もぐっちゃぐちゃ。このような面倒な場合でも対応してくれるソフトが開発されている。それがCOLONYというソフトでシミュレーションによって最もありそうな親の候補を導き出してくれるらしい。

そういうわけで、本日ようやくCOLONYで親子判定を行ったわけだが、さすがシミュレーション。学生のノートパソコン(OSはウィンドウズvista)では5時間経っても工程の10分の一くらいしか終わっていない。マシンパワーが相当必要とするみたいだ。

残念ながら結果を検討するまではまだ時間がかかりそうだが、ただ、パソコンを使っているっぽさは味わえてるので、ちょっと満足感はある。

寄生虫だそうです。

先月のゼミで寄生虫の研究者が講演に来ていたのだが、
彼の話ではイカにつく寄生虫は有名どころであるアニサキスやニベリン条虫だけでなく、
カイアシ類のような寄生虫もいる可能性が高く、それに関してはそれほど知見があるわけでは無いとのこと。
特にヒメイカとなっちゃぁ、なおさら。

そういえば、解剖していたら
ワラワラとちっちゃい何かがうごめくのをいつも見ている。
いつもはまったく気にしていなかったが、
そういう話を聞くと、ちょっと見てみるかという気になった。

麻酔がかかったイカを弄っていると、
漏斗から大量のちっちゃい何かが漏れ出した。
倍率を上げて観察。
すると確かに、見たことが無い何かが大量に見つかった。

なんといったらいいのか分からないが、
感じたことをそのまま書くと、
モヒカンのヨーヨーに円盤がくっついたようなものだった。
こんなこと書いても想像も付かないと思う。
でも、安心して欲しい。
読み返してみたが、書いた当人も理解できなかった。
これでおあいこだね♪

それが、この間、長崎で取ったイカの話。

今日は送られてきた名古屋個体群を解剖していた。
案の定、麻酔をかけるとこちらでも大量に出てきたちっちゃい何か。
でも、この間とは形が異なり、今度はクラゲのような形状だった。

これが価値あることかどうかは自分にはよく分からないが、
なんとなく面白そうなので、先の人に相談してみようと思う。
跳ねればいいネタになるかも。

イカと麻酔

The Veligerという雑誌にヒメイカの麻酔についての論文が掲載された。
(Veligerはオンラインに力を入れていないので
ホームページからは最新の論文は読めないみたい。)

内容は氷温麻酔と2%エタノールとあともう一つの薬品(何かは忘れた)で
麻酔を行ったところ、エタノールは麻酔後すべてが回復したのに対し、
他の方法ではそこそこ死んでしまった。
また、氷温麻酔はインクを吐いて、ストレスがかかっているくさい
なので、エタノールを使って、胃の中の油球の観察を行いましたという内容だったかな。

んで、この論文を読んで、以前Animal Behaviourに投稿したことを思い出した。

Animal BehaviourはEthical Refereeというのがあるくらい、倫理面に厳しい。
まぁ、これは分野内では結構有名な話だ。
しかし、イカは無脊椎動物。
苦痛を感じるとされている脊椎動物ではサンプルを殺す場合、
必ず麻酔を行って苦痛を与えず、処理することが決められているが、
無脊椎動物はその範囲外だった。
(それでも、できるだけ苦痛を与えず処理するとは書かれていた気がする)

イカは水産物ということもあり、食材として見ている所がある。
なので、自分の周りの日本人では
サンプルを使った後、捨てたりしないで調理して食べることはあっても、
麻酔をかけてサンプルを処理する人はいなかった。

それでも、自分のイカは食用でもないし、
愛着もあったので、なんとなく昔からエタノールで麻酔をしてから固定を行っていた。

そういうこともあって、倫理面で厳しいと評判のこの雑誌に投稿した際も
無脊椎動物の処理に麻酔を使っているので文句はないだろうと思っていた。

しかし、Ethical Referee からはリジェクトの判断が下された。
(最も、リジェクトの主な理由は内容がスペシフィックすぎるというもので、
倫理面の問題はEditorの後押しをしたにすぎなかったが。)

当時はむしゃくしゃしていたので、さらっとしか読まなかったが、
冒頭の麻酔の論文を読んだのをきっかけに、改めてコメントを見返してみた。

自分はこのイカの性別、処女の有無を判定するための麻酔と、
固定の苦痛を和らげるための麻酔、二つの麻酔を行っているのだが、
ここに使い分けが無いことに一番の問題があったみたいだ。
(他にも問題はいろいろ指摘されていたのだが、多すぎて書きたくない)

要するに、最初の麻酔は回復させて行動を観察するのに使うため比較的軽めの麻酔であるが、
その軽めの麻酔を殺すための麻酔にも使っているのは苦痛を完全に取り除くためには不十分である。
ということだった。

言われてみれば、確かにそうなのかもしれない。

もちろん、こっちはイカが麻酔がかかって、ほとんど動かなくなってから処理しているのだが
そこまで心を砕いていなかった。

Refereeは最後に、
頭足類は高度に発達した頭脳を持っており、
脊椎動物同様、苦痛を感じていると考えられる。
と書いていた。

頭足類の麻酔に関する論文は何本か出ており、
この問題にはそれなりに関心がもたれている。
このことは水産系の雑誌ではまったく問題にされなかったが、
動物学系の雑誌では今後、麻酔は必須となっていく流れかもしれない。

そして、覚えていなければいけないのは麻酔をしたかどうかではなく、
苦痛無く処理したかどうかが重要だということだ。

軟体動物にもストレッチが必要?

本日もだらだらとイカを観察していたら、
あることが気になった。

ヒメイカはよく、伸びをする。
腕をめいいっぱい広げて、うーんという感じに。

で、これって今までは
ああやってるやってるくらいにしか思っていなかったが、
実は面白いことなんではないだろうか。

そもそも、伸びって何のためにやるのだろうか?
人間もやるし、猫でも見る気がするが、
どの動物までやるのだろうか。
哺乳類だけか?
だとしたら、イカはなんでやるのか?
そもそも、同じ機能なのか?

意外にネタになるかもしれない。
もうちょっと気をつけて観察してみようと思う。

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プロフィール

HN:
Norico
年齢:
44
HP:
性別:
非公開
誕生日:
1980/08/19
自己紹介:
イカの行動生態学を研究しているポスドクです。

研究テーマは繁殖行動の進化・・・
ざっくり書くと、どんな雄がモテるのか、メスはどんな雄が好きなのかということを研究してます。

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