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NoriyosiBlog

イカの行動生態を研究しているポスドクのブログです。 調査や研究のこぼれ話からポスドクの生き様などを紹介できればいいなぁ。

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沖縄調査終了

沖縄調査は空振りに終わったぜ~。

簡単に言えばヒメイカが捕れなかったということなのだが、
アマモ場が本土のそれとはまったく違い、とにかく丈が短い。
帰ってきて調べてみたら、どうやらベニアマモという種類だそう。

期待をしたマングローブの調査もまったく駄目。
濁りが酷く、イカが捕れる気もしなかった。

まぁ、そんな残念な結果だったが、
はじめての沖縄調査で、フィールドを下見できたし、
琉大の学生とも少ないながら交流が図れたのはいいことのはず。

いつかリベンジしてやる。

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セルフサイテーションの鬼

論文の評価の一つはどんな雑誌に載ったか。
レベルの高い、いわゆるインパクトファクターが高い雑誌に載せると、いい論文だということになる。

他にはその論文がどのくらい他の論文から引用されたか。
多くの論文で引用された論文は重要な発見をしたことを意味する。
(たまに駄目な例として頻繁に引用されるケースもあるけど)

後者の方が評価としては正当性が高いといわれている。

で、自分なんですが、これが全然引用されないのよ。嫌になっちゃう。
ただ、一人だけ毎回引用してくれる人はいるのが救いかな。

Sato, N という人なんだけど。

きっと知的な感じのハンサムで、優しさに満ち満ちた人に違いない。

カミナリイカ(の精子)Getだぜ!

朝、研究室に行くとうちの釣りキチ学生が嬉しそうにある物を手渡してきた。


カミナリイカだ。

オスの体に出るリップマークがカミナリイカの証。
釣りキチいわく、今日の朝4時から釣っていたらしい。
雄4個体、雌1個体というすばらしい釣果。

「周りは誰も釣っていなかったんですけど、僕だけ釣れたんですよ。」
と聞いてもいないのに自慢気に語ってきた。

いつもだったらガン無視だが、実はいろんな種類のイカの精子を集めようと画策していたこともあり、
今日だけは「すごいねー」と相槌を打ってあげる現金な自分。

北海道、東北はコウイカを滅多に見ることはない。
なので、どんな種類がいるのかほとんど把握していないし、
体のつくりも良く分かっていないので、ここぞとばかりにじっくり観察した。

特に面白かったのが触腕のポケットだ。


写真の中央でだらりと垂れているのが触腕。変な穴から伸びているのが分かるだろうか?

普段弄っているヒメイカだけでなく、ヤリイカやスルメイカといったツツイカの仲間は
触腕は外部から見えているのだが、写真のようにコウイカの仲間は触腕を収めるポケットがあり
使わないときは収納しているのだ。
だから、ぱっと見ると、腕が8本しか見えない。
他にもいろいろ違うところは多かったのだが、個人的にここが一番ツボだったかな。

しかし、でかいイカは計測やら解剖が大変だ。
もちろん小さいヒメイカは顕微鏡を使わなければいけないところが多く、それはそれで大変なのだが、
なんといってもイカ臭がキツイし、ヌメヌメでペンは握りにくい。
ま、結局は慣れの問題なのだけれど。

無事、目的の精子も採取することが出来た。
お礼の意味も込めて、今回の功労者たる釣りキチ君をはじめ、
研究室の面々に、イカの精子が泳ぎまわる様を披露した。
スライドガラスの上を縦横無尽に泳ぎ回るイカの精子に、皆、感動してくれた。
こういうので素直に喜んでくれるのを見るのは、研究者として嬉しい瞬間だ。

最後は釣りキチ君に5杯のイカを捌いて貰って終了。
実験に使った個体を食べて終わるのが、イカのいいところ。
明日の昼が楽しみだ。

汚れたアマモの理由

土曜、日曜とフィールド調査。
潜水中にちょっとした発見をしたので今回はそれをネタに。
自分の調査地は潮の流れがほとんどないとある内湾の沿岸部である。
底質は泥ということもあり、透明度は極めて悪い。

そこには海草の一種であるアマモが繁茂している。
毎回、このアマモが泥がビッシリこびりついていることが気になっていた。
泥で汚れた場所であっても、葉っぱに泥がこびりつくことなどあるだろうかという疑問はあったが、
特に深く考えることも無く、
まぁ、そういうものなのだろうと仕事に取り掛かるのが毎度のことだった。

さて、ヒメイカが住むアマモ場には、ワレカラやヨコエビなどの甲殻類も数多く生息する。

2週間前の調査でアマモの葉に産み付けられたイカの卵を採ってきた。
実体顕微鏡で数を数えていると、葉っぱに泥のようなトンネルを発見。
よく見るとその中にはヨコエビが隠れていた。


イカの卵塊に沿って出来たトンネルに隠れるヨコエビ

甲殻類研究者の同僚に話によると
ヨコエビは脚の先から粘液を出して巣を作るそうだ。

で、話は今回の調査に戻る。
潜水すると眼下に広がる広大なアマモの草原。
前回よりも背丈が高く、葉の密度も濃くなっていた。
毎度毎度植物の成長には驚くばかりだ。

前回同様、アマモには泥が棘状にびっしりこびりついている。
そこで、ヨコエビの話を思い出したのだ。

そうか、この汚れたアマモはすべてヨコエビの巣によるものなのだと。
合点がいって嬉しさを感じると共に、ここには異常な量のヨコエビが住んでいるのかと驚愕した。

昼に潜っている分には分からないが、おそらく夜はここが無数のヨコエビに覆われるのであろう。


ちょっとした発見に気をよくしたので、写真まで準備してみた。

武器のジャンルで毒ってなかなかないよね

学生の勉強ゼミの後に同僚ポスドクの研究紹介、最後は焼肉というスケジュールで、仕事はまったくはかどらない代わりにとても楽しい一日ではあった。

同僚はワレカラという生物を扱っているのだが、この生き物は雄間闘争のため爪の先からでる毒を武器にするそう。捕食や対捕食のために毒が進化した動物は数多くいるが、同種間の闘争のために毒を使うのはカモノハシくらいなものだそうで。

さらにさらに、彼は雌でも毒腺らしきものを持つことを発見していた。面白いことに、毒腺があるのは雌が子の保護をする種だけらしい。子供のために武器を持つお母さん。その手には毒が!・・・うーん、えげつない。

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プロフィール

HN:
Norico
年齢:
44
HP:
性別:
非公開
誕生日:
1980/08/19
自己紹介:
イカの行動生態学を研究しているポスドクです。

研究テーマは繁殖行動の進化・・・
ざっくり書くと、どんな雄がモテるのか、メスはどんな雄が好きなのかということを研究してます。

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