土曜、日曜とフィールド調査。
潜水中にちょっとした発見をしたので今回はそれをネタに。
自分の調査地は潮の流れがほとんどないとある内湾の沿岸部である。
底質は泥ということもあり、透明度は極めて悪い。
そこには海草の一種であるアマモが繁茂している。
毎回、このアマモが泥がビッシリこびりついていることが気になっていた。
泥で汚れた場所であっても、葉っぱに泥がこびりつくことなどあるだろうかという疑問はあったが、
特に深く考えることも無く、
まぁ、そういうものなのだろうと仕事に取り掛かるのが毎度のことだった。
さて、ヒメイカが住むアマモ場には、ワレカラやヨコエビなどの甲殻類も数多く生息する。
2週間前の調査でアマモの葉に産み付けられたイカの卵を採ってきた。
実体顕微鏡で数を数えていると、葉っぱに泥のようなトンネルを発見。
よく見るとその中にはヨコエビが隠れていた。

イカの卵塊に沿って出来たトンネルに隠れるヨコエビ
甲殻類研究者の同僚に話によると
ヨコエビは脚の先から粘液を出して巣を作るそうだ。
で、話は今回の調査に戻る。
潜水すると眼下に広がる広大なアマモの草原。
前回よりも背丈が高く、葉の密度も濃くなっていた。
毎度毎度植物の成長には驚くばかりだ。
前回同様、アマモには泥が棘状にびっしりこびりついている。
そこで、ヨコエビの話を思い出したのだ。
そうか、この汚れたアマモはすべてヨコエビの巣によるものなのだと。
合点がいって嬉しさを感じると共に、ここには異常な量のヨコエビが住んでいるのかと驚愕した。
昼に潜っている分には分からないが、おそらく夜はここが無数のヨコエビに覆われるのであろう。
ちょっとした発見に気をよくしたので、写真まで準備してみた。
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