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NoriyosiBlog

イカの行動生態を研究しているポスドクのブログです。 調査や研究のこぼれ話からポスドクの生き様などを紹介できればいいなぁ。

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今年一発目の投稿結果

海鳥論文が返ってきたぜ!
リジェクトだぜ!

・・・はぁ。やっぱ駄目だったか。
インパクトというところでは上位の雑誌に乗るほどの内容ではないことは分かっていたんだが。

エディターのコメントには一人の査読者から厳しい意見があったと書いていたので、
とりあえず軽くコメントを読んでみたのだが・・・

「こいつ、何も分かっちゃいねぇ。」って感じの勘違い指摘の連発

挙句の果てにはこっちが実際に観察したって結果を
「そんなことはありえないので、結果から外せ」とか言いやがる。
他の2人はマイナーリビジョンなのに、残念無念。

さっさと海鳥から手を引きたいのだが、まだまだ許してはくれないようで。
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アクセプトから早かった~

この間アクセプトされた論文だが、なんともうオンラインで公開された。

Female Pygmy Squid Cryptically Favour Small Males and Fast Copulation as Observed by Removal of Spermatangia

Noriyosi Sato, Takashi Kasugai, Hiroyuki Munehara
Evolutionary Biology 2013


雑誌の出版は年に4本なので、発表は遅くなるだろうと勝手に思っていたが、
中々にすばやい雑誌のようでなにより。

ただ、オンライン公開の通知が来ていなのは気になるが・・・時差ということで。
そういえばシュプリンガーで出た前の論文もそうだった気がする。


さて、今回の論文だが、
ヒメイカの雌は交接(交尾)後の精子排除によって体が小さく交接時間が短いオスを選んでいる
というタイトルそのままの内容になっている。

このネタは自分の博士論文の核となるネタであったが、
卒業から4年目でようやくパブリッシュとなったわけだ。

これまでの論文はイカの基礎生態についての発見報告がほとんどであったが、
配偶者選択を扱ったこの論文を出すことによって
自分もようやく行動生態学者として成果を出すことが出来た、そんな論文。

是非是非、見てやってください。

投稿してもモヤモヤするものです

昨日は、前職の仕事で残っていた最後の研究をようやく投稿することができた。

予定では今年度頭に投稿するつもりだったのだが、
そこはいろいろと調整しなければいけない立場、内容ゆえ
ずるずると、こんな時期まで伸びてしまったわけだ。

で、当然ながら本日は朝一で論文のStatusをウェブ上で確認すると
すでにUnder Reviewになっとるではないか。
昨日の今日でもうReviewerにまわったの?と疑問に思ったところで
思い出したわけです。前にここに投稿した際、
Under Reviewになってて、ほっと胸をなでおろした数分後にリジェクト通知が来たことを。
ここの雑誌はいわゆる編集者のチェックたるEditor assignedの状態が無いみたい。

実は今回のネタはあんまりこの雑誌に合っていない感じがしていて、
エディターリジェクトの可能性は高いと踏んでいるのだが。

こればっかりは、通知が早々と届かないことを祈るばかり。

人の論文でモヤモヤする小さい人間なのです

お昼くらいからかな。
同僚から「こんな論文見つけたんですけど」と教えられ彼のディスプレイを見てみるとこんな論文が

Spermatophore consumption in a cephalopod

内容はミミイカダマシというイカのメスはオスから渡された精子を食べているよという論文。
まぁ、もろに自分のネタと被っており、さらに言えば昨日投稿した内容もそういう内容なわけですよ。
同僚は親切にも今投稿中の論文に影響するのではないかと心配して教えてくれたということ。

まぁネタ的には正直被っていないのでそっちの心配はないが、この論文を見て別の理由で心は揺れた。
実は、この論文の著者は数ヶ月前、Behavioral Ecologyにも似た内容の論文を出している。

Strategic male mate choice minimizes ejaculate consumption

こっちは雄は精子を食べるからその行為に対して、
それぞれの性がどのように戦略的に交接しているのかという内容。
正直、あんまり面白い内容ではなかったが、それよりなにより先人たる自分の論文を引用していないことにがっかりしたのを覚えている。
まぁ、自分の論文が出たのは一年以内だったので、無理もないのだが。

それで、今回は精子を食べているという内容でBiology Lettersだ。
おそらく順番的には今回のネタのほうが先発だったのかもしれないが、
これを見て、自分のネタもBiology Lettersに載せれた可能性があると思うと
なんかモヤモヤするのである。

そんなことを同僚にグチってたら、
「Biology Lettersは短報ですし、制約も大きいですから、いいことばかりじゃないですよ」
と慰められた。
年下なのに、いつも大人の対応で、アタシ恥ずかしい。

ところで今回の著者の一人だが、昨年に違う種のダンゴイカでBiology Lettersから出た論文にも名を連ねている。

The energetic cost of mating in a promiscuous cephalopod

イカ研究者では聞いたことない名前の人なので
最近、精力的にこれらのイカに目をつけたのだろうか。
ダンゴイカの仲間は普段は土に潜っており実はほとんど動かないので、
水槽に激突する心配もないし、餌も魚の切り身を置いておけば食べてくれるので
飼育がしやすいイカである。

これから論文が量産されそうな気がするが、それにしても聞いたことある名前だなと思っていたら、
自分が輪読会で担当となっている章の著者だった。
こんなところで、妙なつながりを感じるとは。

今年一発目のアクセプトだ!

Sato, N., M.-A. Yoshida, E. Fujiwara & T. Kasugai. (in press) High-speed camera observations of copulatory behaviour in Idiosepius paradoxus : function of the dimorphic hectocotyli.
Journal of Molluscan Studies

イカは交接の際、雄が精子の詰まったカプセル:精夾を雌に受け渡す。
この精夾を掴むために多くのイカは吸盤が無かったり、
逆にヒダヒダが付いていたりする特殊な腕:交接腕を持っている。

ヒメイカはイカの中でも特別で、
形の異なる種類の交接腕を持っているのだが、
なんでこんなものを持っているのか分からなかった。

それを解決したのが、スーパースロー映像である。
スーパースロー映像を撮影できる、高性能のハイスピードカメラを使用できるのは
本当にたまたまで、この研究は棚ぼたのようなもの。
共著者のFさんとの出会いが無かったら、
今回の発見も生まれていなかった。

交接時に精夾から精夾反応がおこり、精子塊が飛び出る。
そして、それはたいてい一瞬で行われるか、
10本の腕に隠れて見えないか、
そもそも飼育が難しくて、観察どころではないか。

頭足類の精子の受け渡しは複雑怪奇だが、
その様子を正確に捉えた例はほとんど無い。

短報ではあるが、ヒメイカのみならず、
頭足類全般の繁殖生態に影響を及ぼすなかなかいい結果だと思う。
パブリッシュが楽しみだ。

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プロフィール

HN:
Norico
年齢:
44
HP:
性別:
非公開
誕生日:
1980/08/19
自己紹介:
イカの行動生態学を研究しているポスドクです。

研究テーマは繁殖行動の進化・・・
ざっくり書くと、どんな雄がモテるのか、メスはどんな雄が好きなのかということを研究してます。

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