Sato, N., M.-A. Yoshida, E. Fujiwara & T. Kasugai. (in press)
High-speed camera observations of copulatory behaviour in Idiosepius paradoxus : function of the dimorphic hectocotyli.
Journal of Molluscan Studies
イカは交接の際、雄が精子の詰まったカプセル:精夾を雌に受け渡す。
この精夾を掴むために多くのイカは吸盤が無かったり、
逆にヒダヒダが付いていたりする特殊な腕:交接腕を持っている。
ヒメイカはイカの中でも特別で、
形の異なる種類の交接腕を持っているのだが、
なんでこんなものを持っているのか分からなかった。
それを解決したのが、スーパースロー映像である。
スーパースロー映像を撮影できる、高性能のハイスピードカメラを使用できるのは
本当にたまたまで、この研究は棚ぼたのようなもの。
共著者のFさんとの出会いが無かったら、
今回の発見も生まれていなかった。
交接時に精夾から精夾反応がおこり、精子塊が飛び出る。
そして、それはたいてい一瞬で行われるか、
10本の腕に隠れて見えないか、
そもそも飼育が難しくて、観察どころではないか。
頭足類の精子の受け渡しは複雑怪奇だが、
その様子を正確に捉えた例はほとんど無い。
短報ではあるが、ヒメイカのみならず、
頭足類全般の繁殖生態に影響を及ぼすなかなかいい結果だと思う。
パブリッシュが楽しみだ。
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