忍者ブログ

NoriyosiBlog

イカの行動生態を研究しているポスドクのブログです。 調査や研究のこぼれ話からポスドクの生き様などを紹介できればいいなぁ。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

やめられない、とまらない。

今日のゼミで紹介した論文

Biting off more than you can chew: sexual selection on the free amino acid composition of the spermatophylax in decorated crickets


コオロギの仲間は交尾の時に、
雄が雌に精子の詰まった袋とゼリー物質の2つを受け渡す。
雌はまず、ゼリー物質を食べる。
ゼリーを食べている間、精子袋内の精子が雌の体内に移送、貯蔵される。

しかし、雌はたまにこのゼリー物質を食べるのをやめ、
おまけに、精子袋を捨ててしまう。
こうなったら、雄の精子はほとんど雌に受け取ってもらえず、
折角の交尾が無駄になってしまう。
つまり、雄はメスにゼリーを食べ続けさせることができなければ、
繁殖成功が下がってしまうわけだ。

著者らはこのゼリー物質の味が雌が食べ続けるか、
それとも途中で食べるのを止めてしまうか、の決め手になっているのではないかと考え、
雌が食べ続けたゼリーと、途中で捨てられてしまったゼリーの味(アミノ酸組成)を調べた。
すると、その結果は、少々複雑な解析を行っていたものの、
食べ続けるかどうかは味覚や食感の違いと関係していたのだった。

昆虫のいくつかの仲間では、
交尾してもらうために雌に雄がプレゼントを行うものがいる(婚姻贈呈)。
従来の研究では、その量や栄養が雌にとって直接的な利益になると言われてきた。
しかし、本研究のこのゼリーは栄養なんてほとんど無いらしい。
いわばスナック菓子みたいなもの
美味しいプレゼントを雌が選んでも、雌には生存上のプラスにはならない。
このため、この種における婚姻贈呈の進化は
雄が雌が好きな味覚に便乗し、美味しいゼリーを渡すことによって、
雌を操作するという経路を辿っていると考えられ、
これを"Candymaker hypothesis"というそうだ。

・・・しゃれた名前の仮説ですね。
要するにだ。料理が上手い男が勝ちってこと。


PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー

09 2024/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

プロフィール

HN:
Norico
年齢:
44
HP:
性別:
非公開
誕生日:
1980/08/19
自己紹介:
イカの行動生態学を研究しているポスドクです。

研究テーマは繁殖行動の進化・・・
ざっくり書くと、どんな雄がモテるのか、メスはどんな雄が好きなのかということを研究してます。

バーコード

ブログ内検索

忍者アナライズ