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NoriyosiBlog

イカの行動生態を研究しているポスドクのブログです。 調査や研究のこぼれ話からポスドクの生き様などを紹介できればいいなぁ。

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ナマケモノの話についての訂正

前回の記事なんだけど、内容に間違いがある事が分かりましたので訂正します。

この間違いに気づいたのは、アップロードした後。
紹介しておいてなんだけど、日本語の紹介記事しか読んでいなかったので、
どういう方法でナマケモノと蛾の共生を明らかにしたのか気になった。
で、論文を読み返してみた。

ナマケモノには大きく分けて2種類いる。
手の指が三つのミユビナマケモノ科と二つのフタユビナマケモノ科。
この二科は同じナマケモノながら生態が大きく違う。
ミユビナマケモノは行動権が狭く、葉っぱしか食べない。
一方、フタユビナマケモノは広い行動圏を持ち、葉っぱ以外にも果物など幅広い食事をする。

で、この論文で注目しているのはトイレの仕方について
ミユビはほとんど移動しないのに、
週に一度、わざわざ木を降りてウンチをする。
フタユビは木の上からしたり、
移動の途中にトイレを済ませる。

木を降りるのは危険だし、疲れるのになんでミユビはちゃんと木を降りてトイレするのか?

ということで、ミユビとフタユビを捕まえて、
毛皮の中の蛾の数、栄養素となる窒素の量、苔の量を調べたわけだ。
するとミユビの方がフタユビに比べて、すべての量が有意に多かった。
さらにミユビでは、蛾の数が多いほど、窒素の量が多く、
窒素の量が多いほど苔の量が多いという関係性が見られた。

これらの結果から、ミユビのトイレ行動は蛾の繁殖を促していそう。
…というのが前回紹介した論文の内容だった。
つまり共生関係があるのはミユビ。

で、何が間違えたのかというと、俺の見たマケモノである。
論文の図に丁寧にそれぞれのナマケモノの写真が載っていてそれを見て気づいた。

あ、俺が見たのはフタユビの方だ。

なんか、知った風な話しましたが、大間違い。
とても恥ずかしいです。訂正してお詫びします。

やっぱり、できるだけ種査定はしないと駄目だね。
ちなみに、フタユビナマケモノ科には
ホフマンナマケモノとフタユビナマケモノの2種類いるみたいだけど、
どっちかまでは分からなかった。
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あいかわらずの脇の甘さ

過去の論文をいろいろ調べたうえで
自分の研究のオリジナリティが確立されるものだが、
入念に検索して、参考にすべき例を全部網羅したと思ったはずなのに、
後からひょっこり検索漏れが出てくることはよくあることで

自分の最近の研究で言えば小型のオスが好まれるというおもしろそうな現象が見つかった
で、小型の雄が雌に好まれるという例が他にないか検索したところ
小型ほど敏捷性が高く、縄張り防衛や餌の獲得効率が良いという理由から
コウモリやハヤブサなどの小型の飛翔動物で見られるというのだけが見つかった。

これを検索した当時は、それ以外なさそうだと思ってたいそう気をよくしていたのだが、
本日、別のワードで検索していたところ、他のケースが見つかった。

Mate selection in Litoria chloris and Litoria xanthomera: Females prefer smaller males

これはカエルの場合

なんでも、小型のオスのほうが鳴き声にあまり投資をしていないので、
エネルギー消費が抑えられ、長期的に繁殖に参加できるから好まれるという理屈だそうだ。

選択実験はせず、フィールド調査で産卵しているペアを見ていくと
小型のオスが圧倒的に多かったという結果から判断している。
結果しか見ていないので本当に小型が好まれているかは微妙
スニーキングしているのばっかり見ている可能性も結構ありそう

そんなことよりも、
2001年の研究でタイトルにもメスは小型オスを好むとばっちり入っているのに
これを見逃すのってどうなのよ

イカのメスはオスの振りをしてる?

もうすぐ学振PDの結果発表ということもあって、
2chの学振板のレスも増えてきた。
海外学振の面接発表も同じ時らしく、自分もそれなりにソワソワ。

学振板ではすでに、”発表キター”などの嘘がちらほらあって、
祭の前夜のような盛り上がりを見せている。
こんな嘘、今では誰が引っかかるのかと思うが、
当時の余裕の無い身分の俺はこんな情報に面白いくらい踊らされていた。

去年の感じから発表は明日くらいなんではないかというのが大半の予想。

それはそれとして、イカの論文でも紹介しようかしら。

Female squid feign having testes to spurn male advances
アメリカの方に生息するイカの種類で、雌だけが白い色素細胞を持つことが分かった。
で、この白いカラーなんだが、成熟したオスを模しているのではないかということ。
というのも、成熟オスは真っ白な精巣が発達するのだけれど、
この雌の色素細胞がちょうど同じところにあってそのように見えるからだ。
これによってオスをだまし、不必要な交尾を避ける狙いがあるのではと著者らは考えているとのこと。

ちなみに論文は以下のサイトから
Dynamic biophotonics: female squid exhibit sexually dimorphic tunable leucophores and iridocytes 

このような現象は実はヒメイカでも確認している。
雌の胴の先っぽに白い色素があって、まだイカを見慣れていないころは
このせいでずいぶん雌雄の判別を間違ったものだ。

これも結構、面白いネタかもしれない。

ヘビスゲェ

ようやく科研費の申請書を提出してひと段落。

さて、今回の申請書は捕食におけるフェイント行動がキーとなっている。

ここで言うフェイントとは攻撃をすると見せかけて相手をだまし、
動きを誘導して無防備にするあれですよ。
こんなことなかなかないだろうと思って調べていたら、やっぱり先人はいるもので。

Tentacled snakes turn C-starts to their advantage and predict future prey behavior

このヘビは体を使って魚を囲むように追い込み、
口から離れた場所の体の一部分を魚に向けて動かすことで
逃避行動を誘発し、まんまと口がある方に魚を移動するようにしむけるそうな。

長い体の利点をちゃんと活かして餌を捕るヘビはやっぱりすごいね。
クモと同じくらい魅力的なハンターだと思う。

脅威のアメアカ

ようやく平衡石のカウントが終わったぜ~。

でもデータが自信が無いのか帰ってき次第、
日齢査定の論文をあさって結果を比較する始末。

だってさぁ、今まで分かっている最長日齢と今回のデータがあまりにも開きがあるからさ。
不安になるのよ。自分の結果が。
こんな弱い自分が嫌になるねぇ。

そんなさなかに見つけた論文をちょっと紹介

Extreme plasticity in life‐history strategy allows a migratory predator (jumbo squid) to cope with a changing climate

Henk‐Jan T Hoving, William F Gilly, Unai Markaida, Kelly J Benoit‐Bird, Zachary W Brown, Patrick Daniel, John C Field, Liz Parassenti, Bilin Liu, Bernardita Campos

Global change biology 19: 2089–2103  (2013)

サメすらも捕食する巨大イカで有名なアメリカオオアカイカだが、
普段は外套長55cm以上、1年から1年半で成熟するこのイカも
エルニーニョが起こると半年くらいで30cmくらいの小型サイズで成熟するように
生活史が変化するという驚異的なお話。
どっちの生活史パターンも一年のうちに見られることから共存しうるものらしい。
あんな馬鹿でかい奴がここまで適応力が高いのは本当に驚き。

あと、主著のHさんは次々に業績を上げて本当にすごいというか、羨ましい。

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プロフィール

HN:
Norico
年齢:
44
HP:
性別:
非公開
誕生日:
1980/08/19
自己紹介:
イカの行動生態学を研究しているポスドクです。

研究テーマは繁殖行動の進化・・・
ざっくり書くと、どんな雄がモテるのか、メスはどんな雄が好きなのかということを研究してます。

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