高校の部活にあこがれの先輩がいた。
かっこよくて、何よりスキーが上手くて。
(スキー部だった)
そのくせ、気取ったところがなく、
いい意味で頭が悪かった。
オタクくさくて、ふとっちょで、
どことなく暗い雰囲気のある自分にとってのヒーローだった。
先輩はとある漫画が大好きだった。
少年ジャンプを読んでいて、その面白さに衝撃を受け、
単行本は必ず人気になり、売り切れると見こんで書店に予約までした漫画。
いざ発売日当日になってみると、先輩以外誰も予約なんてしておらず、
店頭に平積みされていた漫画。
そんな先輩が愛した変態仮面が映画になるそうだ。ニュースを見て、そんなN先輩のことを思い出した。
誰よりも早くおならを出すことが出来た先輩。
女子バスケ部にロケット花火を打ち込んでパンツ姿で正座させられた先輩。
学校祭の出し物で下ネタが酷くて演目が止められ、すぐに呼び出された先輩。
・・・ってまともな思い出がねぇじゃねぇか。あれ、俺、本当にこの人に憧れていたっけ。