忍者ブログ

NoriyosiBlog

イカの行動生態を研究しているポスドクのブログです。 調査や研究のこぼれ話からポスドクの生き様などを紹介できればいいなぁ。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

イカは単年性なのでコホートとかは・・・という言い訳でどうだろう?

同僚から体サイズ組成の分布からコホートごとに分ける方法について聞かれた。

まがりなりにも水産学部出身な上に水研にも在籍していた経歴がある自分はそういう解析があるのは研究発表などで見たことはあったのだが、そのやり方までは当然のことながら知るわけはなかった。

ただ聞かれたタイミングが申請書や論文書きに辟易していた時だったので、まってましたとばかりに進んで横道に入る。調べるうちに、資源量推定でよく聞くコホート解析の前段にあたる体調組成の分離というものらしいことが分かってきたと同時に、すばらしいサイトにたどり着いた。

水産資源解析マニュアル

資源解析のいろはも知らない自分のような初心者にも分かり易く解説し、おまけにエクセルファイルまで用意する親切っぷり。水研様々やで。ほんまに。

なお、同僚のマック版excel2008ではソルバーが使えなかったので、あんまり役には立たなかった模様。
PR

幸先のいいスタートと言えるかもしれない

前職での最後の成果をまとめた論文をその分野で最も詳しいであろう人に見てもらっていたのだが、年度をまたぐ前の昨日、論文が返ってきた。

たいへん忙しい方なので、軽いアドバイスでも十分嬉しかったのだが、隅から隅までしっかりと見て頂き、これでもかというくらいコメントを頂いた。

この分野での仕事は査読付きの論文に載せてはいたが、しっかりとした指導は受けていないのでどことなく不安はあった(まぁ厳密に言えばイカでも指導は受けていないのだけれども)。それが最後の最後に厳正なチェックを受けることができたわけで、なんというか感謝感激である。

今日はそんな感謝感激な思いいっぱいで修正原稿を読んでいた。


・・
・・・
感謝も大きいが、心のダメージも大きいね。

嬉しい反面、自分の未熟さにがっかりもしたが、まぁそれはいつものこと。
今月中にまとめて英文校閲までいきたいところだ。

一年目の反省

だらだらと学振の成果報告書を書いた。 書類をまとめていた時はめんどくさいとしか思っていなくてじっくり振り返ることなく単純に研究成果を埋めて行ったが、明日から4月で新しい年度が始まるわけだ。ちょっと学振一年目を振り返ってみる。 いちばんの成果は論文をたくさん出せたことだろう。5本をパブリッシュさせることが出来たのはこれまで無かったことだ。昨年はリジェクト地獄につかまり散々だったが、その分を取り返すことができた感じだ。そういう事から言うとこれらの成果は純粋には今年度のものではないだろう。今年度に一から書き始めたのは最近出した1本だけで、昨年の貯金の影響というのがその実だ。なので論文作成スピードが速くなったわけではない。そういっても流れだけはいいので、今年もそれに乗っていきたいところだ。なにはともあれ、博士課程や前の職場での残りを一刻も早く形にしなくてはならない。便秘は体に良くないですから。 肝心の新規の研究についてはあまり目覚しい成果はない。いや、最近ようやく軌道に乗り始めたというのがいいのだろうか。ようやくデータが出揃い始めた。今年中に長崎発の研究成果をどこかで発表したいものだ。 全体的に可も無く、不可もなくといった一年目。せっかくのフリーな時間だ。もうちょっとガツガツいっていい気がする。そこが一番の反省点だろう。自分は新環境になってバリバリやれるタイプではなく、周りに慣れるのに時間がかかるタイプだが、最近、ようやくエンジンがかかってきた感じはする。いろいろとやってみたいことが出始めたし、なによりいいのは昔ほど腰が重くなく、とりあえず観察なり実験なりをやってみるようになったことだ。こういう所は今までの自分に欠けていたところで、研究者としてちょっとは成長できたのかもしれない。 というわけで明日から勝負の2年目に突入だ。今年度は飛躍の年にしたいところ。

パニックになるし、動けなくなる

昨日は今月2回目の潜水調査。

水温も2週間前に比べて3度も上昇していた。
水はまだ透明で一見変化は内容に見えた。
アマモを掻き分けイカを探すのだが、その度に葉っぱに付着した無数の気泡が浮き上がり視界を奪う。
光合成を実感できる数少ない状況だろう。

この水温で一時間半も潜水をしているといくらドライスーツとはいえ、ものすごい尿意に襲われる。
調査地は周りが山に囲まれた人がほとんどいない湾になっているので、水から上がりスーツを脱ぐなり、立ち小便をした。極限まで尿意を我慢した後の放尿ほど気持ちいいものは無いのではないだろうか。

心地いい脱力感に身を震わせながら、ふと去年の夏に同じ場所で立ちションした時のことを思い出した。
安心しきって放尿していると、まもなくドドドドドドドというエンジン音が聞こえたのだ。
振り返ると岬の奥からゆっくりと姿を現す船外機の姿が。

奇襲というものの恐ろしさを身をもって味わった瞬間だった。

親子判定について

親子判定に四苦八苦している今日この頃。

これまでプライマーの開発はしたことがあるが、実際の親子判定をやったことがなかった自分は、プライマーさえ開発できたらあとは親のバンドとの一致を調べればいいものと高をくくっていたが、いざDNA判定に入ると話はそう簡単でないことに気付く。

A practical guide to methods of parentage analysis


上のレビューは様々な親子判定の手法やそれのためのソフトウェアをまとめたもので、今回これを見ながら魚の親子判定を行う学生と共に勉強中。そんなわけで復習がてらちょっとまとめてみる。

親子判定にもいろいろあり、水槽実験などで目的の親のDNAが回収できているときは最初に書いたように親のバンドと同じバンドを共有しない子供を除外していくことで目的の親がどれくらいの子供を獲得できているか調べることができる。これをExclusionと呼ぶ。

さらに最近ではソフトウェアの力を借りてより精度が高い親子判定を行うことが出来るようになった。除外できなかった個体は目的の個体だけでなく、その繁殖相手や別の個体の可能性も有しているが(バンドが被っている可能性があるから)、ここからさらに尤度や事後確立を使って候補を絞ることができる。これをParentage assignmentとか呼んだりする。よく使われるのはCERVUSというソフト。

で、問題は野外で採集した卵の親子判定を行う場合、つまり親のDNAが獲得できなかった場合である。この場合は子供の情報から親を推測する方法となる。やり易いのは卵塊などの親子判定である。何故ならメスは共通であることがほぼ確実であり、対立遺伝子の片割れが予測しやすいからだ。このように対象がfull-sib(両親が同じ兄弟)か、half-sib(異母、または異父兄弟)と思われる場合に親を予測する方法はparental reconstructionと呼ばれる。これを行うためにはGERUDというソフトがいいみたいだ。

問題は対象とする子供の親がまったく予測できないとき。うちの学生が直面したのは残念ながらこのケース。繁殖期に雄が縄張りを作り、そこに雌がやってきて産卵を行う魚なのだが、雌は複数やってきて産卵するので巣の中にある卵はどの雌のものなのかまったく分からない上に、スニーキングも頻繁に行われるので雄の情報もぐっちゃぐちゃ。このような面倒な場合でも対応してくれるソフトが開発されている。それがCOLONYというソフトでシミュレーションによって最もありそうな親の候補を導き出してくれるらしい。

そういうわけで、本日ようやくCOLONYで親子判定を行ったわけだが、さすがシミュレーション。学生のノートパソコン(OSはウィンドウズvista)では5時間経っても工程の10分の一くらいしか終わっていない。マシンパワーが相当必要とするみたいだ。

残念ながら結果を検討するまではまだ時間がかかりそうだが、ただ、パソコンを使っているっぽさは味わえてるので、ちょっと満足感はある。

カレンダー

09 2024/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

プロフィール

HN:
Norico
年齢:
44
HP:
性別:
非公開
誕生日:
1980/08/19
自己紹介:
イカの行動生態学を研究しているポスドクです。

研究テーマは繁殖行動の進化・・・
ざっくり書くと、どんな雄がモテるのか、メスはどんな雄が好きなのかということを研究してます。

バーコード

ブログ内検索

忍者アナライズ