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NoriyosiBlog

イカの行動生態を研究しているポスドクのブログです。 調査や研究のこぼれ話からポスドクの生き様などを紹介できればいいなぁ。

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フィールド研究にあこがれる

Bateman in Nature: Predation on Offspring Reduces the Potential for Sexual Selection
John Byers, Stacey Dunn
Science 9 November 2012: Vol. 338 no. 6108 pp. 802-804


北アメリカにいるプロングホーンという鹿のような牛を
10年に渡りフィールド観察すると、
オスは交尾相手が多いほど、残す子供の数が多かったが、
コヨーテなどの捕食圧が高く、生まれた子供の生存率が低い年は
上の関係は見られなくなるという話。

オスは交尾相手が多くなると、それに従い子供の数は増えるというのは
Batemanという人が昔、ハエで示した話で、
オスにおいてこの関係性があるとき、そこには性選択が存在する。

この研究では自然界において性選択が働いていると同時に、
捕食という環境要因の影響が強いと自然選択の影響が強く、性選択は制限されることを示している。


こういう長期的なフィールド研究は自分としては憧れる。

進化というのは時間スケールが非常に長く、
実際にそれが起こっていることは直接観察することはできない。
つまり、未だに証明されたわけではない。

自分が初めて、自然選択によって進化が起こっていると感じた研究は
やはり”フィンチの嘴”を読んでグラント夫妻が行った
ガラパゴス諸島でのフィンチの長期観察だ。

フィンチの嘴―ガラパゴスで起きている種の変貌 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)


雨季の長さなどの環境要因で、植物の実りの状況が変化し、
その時の収穫物を上手く食べれる長さの嘴を持つフィンチが生き残る。

この本に出会ったのは遅く、博士課程を卒業してからだったが、
以前は、実験室で人為的に系統を選抜して行う
まさしく実験といった研究に憧れがあった自分を変えた一冊だ。

フィンチやプロングホーンの研究のような繁殖成功の長期モニタリングは
潜水しなければ観察できない海洋生物とは相性が悪いので、
自分が今後チャレンジするのはちょっと無理だということは分かっている。
ちっちゃいイカという生物特性を生かしたアプローチをしなければいけないが、
それでもフィールドでの直接観察には未だに憧れがある。

そういや、プロングホーンをウィキペディアで調べたら面白かった。
最高速度88キロで走れるが、これはチーターに対抗するためという説があるとか。
危険を感じた時はお尻の毛を逆立て発光して、仲間に伝えるとか。
で、ってチーターアメリカにいないじゃん、って思ったら、昔は北アメリカにいたんだって。
意外なところで勉強になった。
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プロフィール

HN:
Norico
年齢:
44
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性別:
非公開
誕生日:
1980/08/19
自己紹介:
イカの行動生態学を研究しているポスドクです。

研究テーマは繁殖行動の進化・・・
ざっくり書くと、どんな雄がモテるのか、メスはどんな雄が好きなのかということを研究してます。

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