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NoriyosiBlog

イカの行動生態を研究しているポスドクのブログです。 調査や研究のこぼれ話からポスドクの生き様などを紹介できればいいなぁ。

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ピークの見方

森の分子生態学2 (種生物学研究)

遺伝マーカーを使った父子判定。
昔は電気泳動でバンドを読んでいたが、
今はApplied BioのDNA Analyzerのフラグメント解析を使っている。

バンドが波形となり、ピークを読むことでジェノタイピングするのだが、
この読み方がなかなか難しい。
ハリネズミのように何個も山が出来たり、ピークの高さにムラがあったり。
そんな判別しにくいプライマーなんか使わなければいいじゃないなんて思うかもしれないけど、
お金とか時間とか制約はいろいろあるものでねぇ。
これでなんとかしたい場合もあるんですよ。

で、このピークの見方は数年前に当時のポスドクの方に教えてもらって以来、
なんとなくでこれまでやってきたのだが、ちょっと前に出たこの本に
これが結構親切に解説されてあったのだ。

中でも、最も今の自分が欲しかった情報がセミヌルについて。
フラグメント解析では一般に、ヘテロの場合、
短いバンドの方がピークが高くなるとされていたが、
たまに、短いバンドの方でもピークが低くなってしまうことが見られて、
これの扱いをどうしようか悩んでいた。
どうやらこれはヌルアリルとまではいかないが増幅が上手くいかない
セミヌルアリルである可能性が高いとのこと。

なるほど、そういうわけか。
本ではできればそのようなバンドが出るプライマーを使わないのが一番だが、
どうしてもという時は、アニーリング温度を上げていっそのことヌルとして扱う、
逆に温度を下げて検出し易いようにするのも手だと教えてくれた。

実は単一の雌から生まれた子供のジェノタイピングをしたら、
一つのプライマーだけ、矛盾する結果。
つまり、片方のバンドは一つの雌由来なので、
多くとも二つのアリルはすべての子が共有しているはずなのに
複数のアリルが検出されてしまったのだ。
しかし、この情報を元にジェノタイピングをやり直すと
綺麗な結果が出てきたわけだ。

こういう時に親情報が分かっているバッチのジェノタイピングは
怪しいプライマーの有効性の検証に使えるのでいいということを知った。



この本は2が着いているので分かると思うが、当然1も存在している。

森の分子生態学―遺伝子が語る森林のすがた (種生物学研究 (第23号))

自分が持っていたのはこっちのほうだったが、
出版されたのはすでに10年以上も前。
発展著しい分子生物学の分野ではすでに使えない情報が多くなってきている。
もうしばらくすると、2の方もすでにあまり使わない手法だらけになってしまうのかもしれない。

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プロフィール

HN:
Norico
年齢:
44
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性別:
非公開
誕生日:
1980/08/19
自己紹介:
イカの行動生態学を研究しているポスドクです。

研究テーマは繁殖行動の進化・・・
ざっくり書くと、どんな雄がモテるのか、メスはどんな雄が好きなのかということを研究してます。

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