年末に一本の論文が目にとまった。
von Byern J, Söller R, Steiner G
Phylogenetic characterisation of the genus Idiosepius (Cephalopoda; Idiosepiidae)
内容はずばり世界に7種いるヒメイカ属の分子系統解析を行ったもの。
ヒメイカ属は触腕の吸盤配列が分類のキーになっており、
日本のヒメイカの吸盤配列は4列といわれてきた。
ところが、彼は以前の論文で日本で採集したヒメイカの配列は2列であることを報告し、
日本にはヒメイカの他にアフリカヒメイカも存在すると主張していた。
今回の彼の論文では
日本にいる2列と4列のヒメイカは同じクレードであることが報告されていた。
つまり、二つは同じ種であるということだ。
ヒメイカは大型で成熟するものと小型で成熟するものの2タイプの生活史があることから、
この結果は自分としては予想通りだった。
他にもタイで比較的最近になって新種記載されたシャムヒメイカ(2列)も
同じ場所に生息するアフリカヒメイカと同じくくりになっていた。
ヒメイカにおいては吸盤配列も体の大きさも分類のキーとはならないと思われる。
というか、ちゃんと生活史を把握しなければいけないのかもしれない。
彼の結果では、くくりは主に採集場所によって大きく分けられていた。
驚いたのはこのあとで、
沖縄で採取されたヒメイカの仲間が日本のヒメイカとも、
そして、他のヒメイカともまったく異なるクレードに分けられていたのだ。
これはもしかしたら、沖縄にいるヒメイカの仲間こそが新種の可能性が高い。
うーむ。お金さえあれば、沖縄で採集調査するのもいいかもしんない。